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07.10 Sun

BIG-RE-MAN「珍珍珍珍珍」を聴いて


田我流も一押しのレペゼン岩手は花巻、BIG-RE-MANが、2015年に手売りのみで静かに販売開始していたデビュー作。
アバンギャルドでとんがりまくりなリリックの世界観で見え難いけど、しっかりとヒップホップIQ高めの作りは、古くは(初期の)スチャダラパー、最近ならSTILLICHIMIYA的な絶妙の塩梅。とは言え、単なる懐古主義に陥ることなく、ビート選びはちゃんと2010年代のそれも意識しているような。90年代の古典的なヒップホップ・クラシック、往年の日本語ラップに加えて、昭和歌謡なんかからの直接的な引用、そこからの影響を隠さないゴッタ煮のミクスチャー感覚は、近年の主要アクトが当然のように -例えば、加山 雄三"お嫁においで"をオフィシャルでREMIXしたPUNPEEだったり、STILLICHIMIYAの"ズンドコ節"だったり、BLAHRMY"ON FIRE"なんかでNAGMATICが石原 裕次郎(と牧村 旬子)"銀座の恋の物語"を使用したように- 持ち合わせている「ソレ」と同じ匂いがします。後半に向かって加速する(?)郷土臭こそが、もしかすると「ONE PEACH」/「PLACE 2 PLACE」の頃のSTILLICHIMIYAには確かに在って、「死んだらどうなる」でメジャー感と引き換えに失われた「何か」、なのかも。2004~2015年に制作した楽曲をコンパイルしたらしく、故に良く言えばバラエティー豊富、悪く言えばヤミ鍋的、振り幅のある一枚。
今日では珍しい位に情報が出ていないようなので、楽曲単位でも!

1 ビックリ革命
自らの和洋折衷なスタイルを声高らかに告げる冒頭のアカペラが、彼等のやり口の全てと言っても過言ではないほど、実は(開始1分で)本作の核心を突いていると思う。この辺の議論は、例えばRHYEMSTERが"リスペクト"だったり、近作だったら「BITTER, SWEET & BEAUTIFUL」の"ガラパゴス"等々、すでに語られてきたことだけど、日本語でラップをする上で避けては通れない命題にしっかり向き合ってみせるところに、一見おちゃらけてるけど実は「ちゃんとしてる」感じが見えちゃった気も。楽曲の方は、オールドスクールの古典中の古典、FAB 5 FREDDY"DOWN BY LAW"の2枚使いに、3MCの掛け合いがシンプルながらも熱い!クレジットは2004年。「俺等はラップ、始めました!」

2
レゲエ気分のユルいビートで、ご飯ネタ(?)で一曲引っ張る珍曲。とは言え、「八方美人に発砲 2 PACのように発酵し、後から糸ひく俺等のヒップホップ ニッポン人のニッポン語」と歌うフックは、"ビックリ革命"から地続きな気も。そう考えると、日本人の主食たる「飯=ごはん」というテーマ選びからして深い、のか?3分半を過ぎた辺りから始まる寸劇もギャグセン高め。クレジットは2011年。

3 BIG 3
自ら3MC=BIG 3と持ち上げる直球のセルフ・ボーストもの。エレクトロ調のビートで、飛び交うフレーズのチョイスとボキャブラリーがいかにも彼等らしい感じ。クレジットは2005年。

4 KUSO
ILL-SUGI作のモッタリした今時のビートに、往年のDAS EFXを彷彿させる「ディギディ」なフックとのミクスチャー感覚が、絶妙にフレッシュ!最後の最後で、唐突にブチ込まれるのはSEQUENCE"FUNK YOU UP"の一節。クレジットは2015年。

5 SUSHI
疑似「疑似ライブ音源」は、普通のレコーディング音源?シンプルなビートに、「マイクを握れ、寿司握れ」という思いつきとしか考えられないフック先行で命名したようなタイトル…。深読みしようにも、「考えるな、感じろ!」のパンチラインに諭されて思考停止。ただ、委ねましょう…。YUNBANDバージョン(?)で収録。クレジットは2012年。

6 なれないFUNKY!
盛岡のバンド、ゴミハコの同名インストに客演。ゴミハコによるロッキッシュなビートに乗って、前ノメリなマイクリレーが素直に格好良し!捻らず聴けば(?)、"ビックリ革命"と並んで本作のハイライトと言えるはず。何気に、ゴミハコの白盤CD-R「NO()EP」にも収録済み。クレジットは2011年。

7 まさるのヤツ
地元のクラブと思われるSOUND MUSEUMでのライブ音源!郷愁が滲むビートで、最後のコール・アンド・レスポンスは、なぜか「UZI THE 9MM」と「UBG」。地元での愛され具合(?)が分かるような寸劇も微笑ましい。

8 ニュースーパーツナ
アコースティックなビートにMC陣が入り乱れる展開のみならず、いかにも歌謡曲っぽい節回しを無理矢理ハメたようなフックと、随所にブッ込まれるフレーズにも違和感たっぷり。正に、カオス。

9 息子
"まさるのヤツ"よろしくの郷愁ビートで、「JIMBROWSKI」「JIMMY」「JOHNSON」「DICK」「COCK」的な下ネタのフックが最低(にして最高)!唐突にブッ込まれる「な〜んでもできちゃう、は〜ずなんだ〜♪」は、往年のビスコのCMから。ちなみに、最後のヴァースをキックするQUIGE A RHYMEは、盛岡で活動するソロマイカーの模様。クレジットは2012年。

10 NOSTALGIC
「あの頃のヨタ話」感は、良く言えばスチャダラパー"サマージャム '95"的。郷愁が滲むビートに映える、荒削りなユニゾンのフックも味わい深し。時代が違って、この楽曲辺りがV.A.「CONCRETE GREEN」(の一ケタ台)辺りに収録されていたなら、彼等はまったく違った存在になっていたかも、なんて妄想しちゃうような仕上がり。クレジットは2013年。


本日、「日本語ラップ」をアップしました。

BIG-RE-MAN / BUDDHA GORILLA FLOW(10"/JPN ORIGINAL)
HAIIRO DE ROSSI / KING OF CONSCIOUS(12"/JPN ORIGINAL)
ILLMARIACHI / 尾張ヒールズ(12"/JPN ORIGINAL)

最新入荷はこちらで。

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06.20 Sat

ANARCHY「DGKA」を聴いて



(まさかの!)フリーダウンロードで解禁された4THアルバム「DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)」。

1 GANGSTAR
思えば、2005年のデビューEP「GHETTO KING」から早8年。「ここまで来んのも楽ちゃうで、何枚稼いだ?1万円」というラインを聴くと、"BET ON A"で、5千円、1万円をラップしていたのが懐かしく思えるほど。「I'M GANGSTAR 仲間と子分が周り囲む I'M GANGSTAR 日本刀よりも日本語ラップ I'M GANGSTAR やっぱジャパンの美女が一番 I'M GANGSTAR」と歌うフックは、明らかに海外を見据えた攻撃的なラインだけど、ここ数年、MUROやSKI BEATZ、DJ 威蔵等、世界レベルの猛者と渡り合ってきたキャリアを考えれば納得できる。

2 SUPER BAD
DJ 威蔵によるベスト・ミックス「60 MINUTES OF ANARCHY」で先行公開されていた一曲。キャリア初期を彷彿させるような、刺々しい得意のセルフ・ボーストもの。

3 FOR MY LADIES
よくよく彼のキャリアを振り返ってみると、ギャルに宛てたリリックはしっぽりした雰囲気の楽曲ばかりだったけど、これまでの手の平を返すようなパーティーチューン。ちなみに、不意に読み込まれるリリックは、言うまでもなくSLICK RICK"LA-DI-DA-DI"の一節。先行でPVも公開済み。


4 ENERGY DRINK
タイトル通り、エレクトリックなバウンス・ビートでブッ飛ぶバキバキ過ぎる仕上がりは、MUROが全面プロデュースした前作「DIGGIN' ANARCHY」の反動か?でも、冷静にキャリアの最初期まで振り返ってみても、ANARCHYがこれまでに選んできたのは、取り立ててサンプリングにこだわったビートが多かったわけじゃないことに気付かされたり。トリッキーなフロウで、ハイテンションを保ったまま駆け抜ける疾走感のある一曲。不意に飛び出す「盛り上がるぞ、友達と ブッ飛ぼう 生きてること自慢しよう、トコナに」なんてラインに、ハッとさせられる。

5 SCHOOL OF HARD KNOX
THUGMINATIのT.O.P.と、OZROSAURUSのMACCHOを迎えた豪華メンツでの一曲。ANARCHY~T.O.P.~MACCHOのマイクリレーで、フックも3者が入り乱れる妥協のない作り。最後の出番で、しっかりとかっさらっていくMACCHOの存在感は、流石の一言。

6 KONNNICHIWA BITCHES
SMITH-CNとSIMONを迎え、"FOR MY LADIES"に続く2発目のギャル・チューン。"KONICHIWA BITCHES"と言えば、ROBYNの同名曲を思い出すけど、関係ないのかな?

7 BANK TO BANK
KOHHの参加は、STATIK SELEKTAH、L.E.P BOGUS BOYSに続くサプライズ。(テーマ自体が軽くても)フロウが熱いANARCHYと、飄々とした佇まいで我が道をいくKOHHのスタイルは、コントラストが効いていて興味深い。何気に、KOHHのヴァースではANARCHYの"FATE"を引用する場面も。

8 MUCH LATER
USはシカゴから、なんとL.E.P BOGUS BOYSが参戦!ANARCHYは堂々、トリの3番手で登場し、短めのヴァースをキック。他の客演曲の熱量と比べると、やや淡白な気がするのは高望みし過ぎ?


9 LOYALTY
STATIK SELEKTAHがプロデュースした、明らかに本編のハイライト。ZEEBRAやYOU THE ROCK、MACCHO、AK-69、YOSHI(餓鬼レンジャー)、D.O、漢、NORIKIYO、MEGA-G、B.D、韻踏合組合、SIMON等の名前を読み込みながら、全編を通してANARCHY自身も最も力を込めたであろう、日本語ラップへの想いを吐露するリリックが熱い!「妄走族、NITRO、俺達の声を聴いてくれよ どんな金持ちよりも格好良い ライブをも一度見せてほしい」なんてラインは、一日本語ラップ・フリークとしてグッとくるもの。「今、気になってるのは田我流」にも、タイム感があるな。


10 KYOTO CHILLIN
クレジット無しながら、実質的RUFF NECKとしての一曲で大団円。DAVID AXELROD"THE SCHOOL BOY"を使用したビートで、明らかにDIAMOND D"THE HIATUS"(REMIX)を意識したユニゾンのフックが憎い。リリックも、ローカルなネタが最高に楽しい京都アンセム。締めの一節「MY HOOD 俺の全てだ」は、もちろんTOKONA-X"WHERE'S MY HOOD AT?"からの引用。TOKONA-Xと言えば、ILLMARIACHI"TOKONA 2000 GT"も少し意識したのかな?RUFF NECK"SOUND TRACK"の続編にも聴こえる。

06.20 Sat

MEGA-G「ORIGINAL SOUNDTRACK FROM THE M.E.T.S. LIFE」を聴いて


(今度こそ、当初のアナウンス通り)420枚でファンド限定という2NDアルバム。前作「JUSWANNA IS DEAD」はT.TANAKAとの連名作だったこともあり、多彩なプロデューサー陣との掛け合わせ的な楽しみはREMIX盤の方に託していたわけだが、今回は純粋なMEGA-Gのソロ作ということで、T.TANAKA(& 66)も本作では一プロデューサーで、それ以外にYOUNG-G、GRUNTERZ、SKYFISH、HIMUKI、16FLIP、VAL等が参加。本作は、オランダのアムステルダムのような架空の都市、「M.E.T.S. TOWN」での物語/映画のサウンドトラックという設定からしても、(例えば、JAY-Zのキャリアで言うところの「BLUEPRINT」シリーズに対しての「AMERICAN GANGSTER」みたいな立ち位置で)良い意味で好き勝手ができた作品とも言えるだろう。

1 IN TO RAW
正にイントロと言える、物語の幕開けを告げる2分弱のインスト。意外にも、セルフ・プロデュースでMEGA-G自身の手によるもの。若干のP-FUNKテイストで、「これから、何が始まるのか?」という期待感を煽るには充分。アムステルダムは音楽の都とも言われるだけに、そこから連想したミュージックシアターでの一幕、というイメージかな。

2 WELCOME TO THE M.E.T.S. TOWN
実質的な1曲目は、GRUNTERZのプロデュース。壮大なスケールを醸し出すビートに乗って、架空の都市「M.E.T.S. TOWN」を紐解いていくようなリリックが、作品全体のプロローグとして機能している。早朝から「早くリラックスできるのを渡せ」と客がチャイムを鳴らす終盤の寸劇もまた、M.E.T.S. TOWNの空気感を知る手がかりの一つだろう。

3 I'M YOUR PUSHA
タイトル通り、(前曲でチャイムを鳴らされた)プッシャー目線からの一曲も、GRUNTERZプロデュース。テーマ然り、ビートの重たい世界観然り、MSC的なイメージと言ってしまえばそれまでっちゃーそれまでだが、ヴァース単位でも作品全体の世界観を守り抜くMEGA-Gと、「日本語ラップ」、「タワレコ」、「FOSTEXのスピーカー」、「JUSWANNA IS DEAD」辺りのワードのチョイスで現実へと一気に引き戻すようなMC漢は、世界観が少しちぐはぐな気も。言うまでもなく、この世界でプッシャーが捌くのは音楽というドラッグ。

4 TRAIN WRECK
スクリュー化した合いの手と、浮つき気味のビートで完全にトリップ状態。2分半の短編曲だが、"I'M YOUR PUSHA"と"BAD MIND"を繋ぐ橋渡し的な位置づけでもある。プロデュースはSKYFISH。

5 BAD MIND
YOUNG-G作のビートで、BES、STICKYのSCARSコンビが参加。"TRAIN WRECK"のトリップを引きずりつつ、金と現実世界での苛立ちを吐き出すようなマイクリレーで、ここではSCARS的な世界観が占拠しているだけにBES、STICKYのヴァースの格好良さが際立っている。

6 PAPER CHASER
KGE THE SHADOWMEN & HIMUKI"PARTY & BULLSHIT"やJBM"KUROOBI"での怪演も記憶に新しいBULLDAWGS(JBM/MIKRIS/KGE THE SHADOWMEN/B.D.)が参加し、HIMUKIのプロデュース。正直、BULLDAWGSメンバーにMEGA-Gが乗っかったイメージではあるが、この5人のマイクリレーは強烈。"BAD MIND"~"PAPER CHASER"への流れが本作のハイライトの一つであることは間違いない。それにしても、(JBM抜きとは言え)B.D."NINJA TUNE"も然り、BULLDAWGS名義の作品への期待感は募るばかり。

7 AIRPORT(NARITA)-SKIT
成田空港から飛び立つ、T.TANAKA作のスキット。BULLDAWGS+MEGA-Gのマイクリレーでヒートアップした耳を一旦フラットに。

8 GREY AREA
そして、舞台はスキポール空港へ。SATELLITEのDOGMAと落ち合う約束を交わす寸劇だけでなく、リリックの方も"HIGH BRAND"への繋ぎ的な短編曲。16FLIPによるユルめのビートとMEGA-Gの相性はまずまず、といったところ。

9 HIGH BRAND
MEGA-Gと連絡をとるDOGMAの寸劇~ヴァースへと雪崩れ込む展開は、こういった作品の体裁ならでは。YOUNG-G作の緊迫感のあるスリリングなビートで、DOGMAとのLIBRAコネクションなタッグ体制は、周到な前曲からのネタ振りや、これまでの客演陣との絡みを思えば、正直若干の物足りなさが残る気も。ガブリ四つなフックでの掛け合いはスリリングではあるけど。

10 AIRPORT(SCHIPHOL)-SKIT
DOGMAとブッ飛んだ後は、スキポール空港から再びフライト。が、4:20発の飛行機に(トビ過ぎて)乗り遅れるというオチのスキット。T.TANAKA & (HARDTACKLE)66作。

11 12SWITCH
VAL作のソウルフルなビートに乗る短編曲ながら、「PUBLIC ENEMY NO.1(STONER)」や「(高層)TOP BILLIN'」といったクラシックの引用をサラリと盛り込むリリックが、いかにもMEGA-Gらしい。JUSWANNA作品や、ソロの前作「JUSWANNA IS DEAD」で多発していたこのテの手法は本作では(コンセプトを優先してか)影を潜めているだけに、意外と新鮮だったりも。冒頭の「仕事に遅れるな」という上司と部下のやりとり(?)の寸劇は、当然前曲からの流れを受けたものだろう。

12 THE M.E.T.S. LIFE
トリを飾るのは、"12SWITCH"とミックスされているかのごとく、スムーズに差し込まれるVAL作(ボトムスは同じ)。CQを迎えて、MEGA-GのヴァースではBUDDHA BRANDのクラシック"天運我に有り(撃つ用意)"の一節「当たり前の前走るデュオ」を引用。熱を感じるMEGA-Gヴァースと、いつも通り、飄々とした佇まいのCQヴァースとの対比も面白い。"BAD MIND"~"PAPER CHASER"と同じく、本作のハイライトの一つ。

最後に。客演曲の完成度は総じて高く満足感が高いが、全12曲中で3曲がスキット代わりのインスト、さらに3分以下の短編曲が3曲というボリュームには、やや不満が残る(全12曲で37分)。もちろん、冗長でないに越したことはないし、「いかにタイトに作るか」というのがここ数年のアルバム作りの命題ではあるとは言え、出資者を募ってファンド方式で制作している以上は、作品未満で起こり得る不満(の芽)は極力摘んでおくべきだろう。
それ以外にも、「JUSWANNA IS DEAD」時よりも特典が少なかったり、発表が延期になったり(実際、それが事後報告だったことで一部の出資者からはクレームもあった模様)と、このままでは「ファンド方式での作品制作」という可能性が閉ざされかねない。「モノ(作品)ではなくコト(経験)を売る」という大義の下で始まったはずのファンド方式が、ジワジワとやはりモノを売る方向にシフトしてきていることに危惧している。

06.20 Sat

EVISBEATS「ひとつになるとき」を聴いて



もう少しAMIDAのラップが聴きたかったというのが正直なところだけど、以前のインスト集「WORLD TOUR」を(前作「AMIDA」の延長線上で)膨らませたような塩梅は何度もリピートしてしまうような、EVISBEATSでしか有り得なかった世界観には違いありません。
個人的なベスト・トラックは"いい時間"/"ゆれる"を除くと)"なんともまぁなんだかな"。

1 祈り
「私の音楽、ぜひ聴いて下さい」の声ネタは、前作「AMIDA」収録の"八百万"のPVのアウトロに収められていたロケ先(インド)の子供によるもの。正しく、前作「AMIDA」からの系譜上にあるイントロ的なインストながら、神秘的な雰囲気で音の珍遊記の幕開けを壮大に演出。

2 フェリチタ
民族音楽から持ってきたような神秘的なコーラスが印象的なビートで、優雅に泳ぐように柔軟なフロウでキックする肩肘を張らないリリックがなんとも「らしい」。インスピレーション全開!

3 ちょうどYEAH!
GEORGE BENSONみたいなユルいギターリフを軸に組み立てたビートで、等身大で居心地の良いリリックも含めてちょうどええ塩梅。曲の雰囲気はぜんぜん違うけど、元々はNOTABLE MCとして客演で参加したDJ NAPEY"どうでもYEAH!"の続編的なタイトルにも遊び心がある。

4 いい時間
"CHILL"の2012年バージョン的な趣。先行の同名ミックスと45で発表済。すでにクラシックにして代表曲と言えるはず。"ちょうどYEAH!"からの流れも、最高に"いい時間"。

5 ゆれる
田我流との邂逅。もの悲しげなビートは、シンプルなのにポップでいて健やか。悟りを開いたかのような田我流のリリックは、すでに自身のライブ等でも以前から披露されていたものらしいけど、大作「B級映画のように2」収録曲と同じように、聴き込むほどに味が出るようなコクの深い内容。スタジオ石、渾身のPVも必見!

6 ギャーテーギャーテー
どこかレゲエっぽい雰囲気で、能天気にラップする様子は、三木 道三の初期曲を彷彿させるような(ちなみに、彼等は奈良出身の同郷で、EVISBEATS自身が三木 道三のファンであることを公言してもいる)。と思ったら、作詞を手掛けたDOZANって三木 道三の変名だった。どおりで、節回しまで似てるはず。そういえば、クラシック"DO THE HIPHOP"でも三木 道三の声ネタが使用されていたのを思い出した。
ちなみに、タイトルの「ギャーテー」は、言うまでもなく般若心経の結びの一節。

7 なんともまぁなんだかな
民族音楽(インド歌謡?)そのまんまなビートに乗っかる、小噺みたいなストーリーテリングが素直に楽しい。特別、気に留めることなく通り過ぎてしまいそうなシーンに、偶然に得た気付きと哲学だからこそ胸を打つことがある、そんな感じ。カラスもよく見りゃ綺麗さ!最高!リリックはイルリメ作。

8 ジャイプールの裏路地にて
長編スキット。インドでの風景をICレコーダーで録ってきたものだとか。

9 一本のロープ
「蜘蛛の糸」を題材にしたストーリーテリングに、SHINGO2"イカルス"を思い出したのは店主だけではないはず。タイトルといい、SHINGO2「緑黄色人種」がダブって聴こえる瞬間が何度かあるのは偶然か必然か。本作もそれと同じように、代替えがきかない孤高の作品であることだけは間違いないんだけど。
余談だが、店主は「緑黄色人種」の中でも、特に"ひとつになるとき"のリリックが好きだった。

10 ヨーガ教室
"ジャイプールの裏路地にて"よりも手の込んだスキット的インスト。"一本のロープ"で迷い込んだ心を諭し、解きほぐすような解放感。理論を学んだというヨーガ教室での経験をフィードバックしたもの?

11 海岸を越えて
疾走するようなドライブ感のあるビートで、全編に渡ってヴォーカルを展開。湾岸をかっ飛ばすような爽快感で、"シャンティシャンティ"の続編のようなリリックも心地良い。

12 気楽な話(REMIX)
NORIMITSU & MR. FUKUSAN「SPLIT EP VOL.1」に収録された"あきら君の気楽な話"の自身によるREMIX。オリジナル・バージョンは陽気なテンションだったけど、こちらでは(COMMON"FINDING FOREVER"で使用されて以降、やけに人気の)PAUL SIMON"50 WAYS TO LEAVE YOUR LOVER"のビートを使用した哀愁漂う仕上がり。同じリリックでも、録り直したラップはビートに合わせた落ち着いた雰囲気になっている。

13 いなか浜
田舎の浜、それも夜の。正にそんな雰囲気の、のどかで優しいインスト。うっかり気を許してしまいそうな心地良さ。

14 AGAIN
MARY JOY所属のCHIYORIを迎えたヴォーカル・メインの一曲。伸びやかなヴォーカルが、シンプルなビートに新たな表情を与えている感じ。「もう一度、笑って」と歌い、ラップするCHIYORIとEVISBEATSのコントラストも良いバランス。

15 帰りましょ
子守唄みたいに、"いい時間"をもっとユルくしたような優しいアウトロ的一曲。後半に飛び出す不気味なおじさん(?)はイヌイットの子守唄(的なもの)らしい。


<ボーナス・ディスク>
A-1 MORNING SUNSHINE
民族音楽から持ってきたようなコーラスを使った作りは、"フェリチタ"や"なんともまぁなんだかな"に近い印象。アルバム本編に収録されていたとしても、何ら不思議のないインスト。

B-1 EMOTIONAL
DOROTHY ASHBYみたいなハープ・リフを軸に組み立てたインスト。初期のミックス「CHILL」にもDOROTHY ASHBY"LONELY GIRL"や"THEME FROM "VALLEY OF THE DOLLS""が収録されていたし、ユルめのEVISBEATSサウンドのイメージにピッタリ。

06.20 Sat

MEGA-G「JUSWANNA IS DEAD REMIX」を聴いて


MEGA-Gのソロ・デビュー作「JUSWANNA IS DEAD」のREMIX盤。スキットを除く全曲のREMIXと新曲(FEATURING ROYCE DA 5'9"!)の全10曲という構成の本作は、オリジナルに比べれば散漫な印象が拭えず、やっぱりあくまでREMIX集として楽しむのが正解。やや話題性先行に思えるリミキサーの人選ながら、OMSB'EATSやYOUNG G、16FLIP、熊井 吾郎辺りとの組み合わせは、 -まあこういった体裁でなければなかなか聴けないものではあるとは言え- やっぱり「合う/合わない」の相性はあるかも。DJ OLDFASHIONやHIMUKIはむしろ寄せ過ぎて予定調和内で治まっちゃった気がするし、16FLIPや熊井 吾郎辺りはそもそも相性的に?な気も。OMSB'EATSは及第点だけど。
そんな中、自身が最も得意とする和モノ・ネタで作りきったCARREC作の"MYSTERY CIRCLE(未知との遭遇)"は、ANARCHY、RINO LATINA 2、漢、MACCHO等による"24 BARS TO KILL"(REMIX)を彷彿させるような、REMIXかくあるべし、とでも言いたい渾身の仕上がり。「伊達に、(彼自身が)ファンドに投資していないな」と思わずニヤリとさせられるはず。唯一の新録となる"ROYCE DA 5'9"との越境ジョイント"GAMEMAKER"は、正直メンツの期待値ほどではないけど、"WORLD IS COLD"的なリリックには惹き付けられる。MEGA-Gはこういうのを書かせると、(ファンド方式の「JUSWANNA IS DEAD」で結果を残しているだけに)やっぱり説得力が違う。まあ、全体で見れば「JUSWANNA IS DEAD」の本編と合わせて聴いてこそ、という感じの一枚。